大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(う)2261号 判決

被告人 南部巍

〔抄 録〕

刑事訴訟法第三〇〇条違反の主張について。

本件記録によると、所論(竹沢ら趣意)指摘の恩田寛らの検察官に対する調書が検察官の手もとにあること、恩田らがいずれも原審公判廷において証人として供述していること、原審において検察官から右恩田らの検察官に対する調書が刑事訴訟法第三〇〇条の規定により取調の請求がなされていないことは明らかである。しかしながら、被告人以外の者の検察官に対する調書が同法第三二一条第一項第二号後段の規定により証拠とすることができる書面に該当するか否かは検察官が先づ判断し、もし検察官が同書面に該当すると認めたときは同法第三〇〇条によりその取調の請求をする義務を負うものと解すべきである。したがって、仮に右恩田らの調書が同法第三二一条第一項第二号後段の規定により証拠とすることができる書面であるのに、原審において検察官からその取調の請求がなされなかったとしても、それは単に検察官に同法第三〇〇条所定の義務違反が生ずるにとどまり、これをもってただちに訴訟手続に法令の違反があったということはできない。

また、仮に検察官から右恩田らの調書の取調の請求がなされなかったのが右調書に同法第三二一条第一項第二号但書所定の特信性がなかったためであったとしても、右調書の取調の請求がなされない以上裁判所に右調書の特信性の有無を調査すべき義務はないと解すべきであるから、所論指摘の審理不尽の違法も存しない。

(三井 石崎 杉山)

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